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東京高等裁判所 平成12年(行ケ)123号 判決 2000年12月19日

原告

代表者代表取締役

【A】

訴訟代理人弁護士

岩出誠

中村博

村林俊行

小林昌弘

被告

特許庁長官【B】

指定代理人

【C】

【D】

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第1請求

特許庁が平成10年異議第92121号事件について平成12年3月22日にした決定を取り消す。

第2前提となる事実

1  特許庁における手続の経緯

原告は、「Burton」の文字を横書してなり、指定商品を商品及び役務の区分第14類の「貴金属製きせる・きせる筒・たばこ入れ・たばこケース・たばこホルダー・灰皿・パイプ・その他の貴金属製喫煙用具、時計、時計の部品及び附属品」とする登録第4171493号商標(平成8年11月1日商標登録出願、平成10年7月31日設定登録、以下「本件商標」という。)の商標権者である。

ザ・バートン・コーポレーション(以下「異議申立人」という。)は、平成10年11月13日、本件商標について登録異議の申立てをし、特許庁は、この申立てを平成10年異議第92121号事件として審理した結果、平成12年3月22日に「登録第4171493号商標の登録を取り消す。」との決定をし、その謄本は同年4月8日に原告に送達された。

2  審決の理由

別紙決定の写しのとおり、

「異議申立人のハウスマークである「BURTON」の商標(以下「引用商標」という。)は、異議申立人の業務に係る商品「スノーボード」を表示する商標として、少なくとも本件商標の出願時には、需要者の間に広く知られるに至ったと認められる。他方、本件商標(Burton)は、「BURTON」商標と同一綴り文字によりなるものであり、また、本件商標の指定商品は嗜好的要素を有する商品あるいはファッションに関連する商品といえるもので、異議申立人の使用に係る商品「スノーボード」とは需要者を共通にする場合も多いから、本件商標に接する取引者、需要者に対して容易に異議申立人を想起させるといえるものである。したがって、本件商標は、これをその指定商品に使用した場合、他人である異議申立人の業務に係る商品、又は、異議申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法4条1項15号の規程に違反して登録されたものであり、その登録を取り消すべきである。」

旨認定、判断した。

第3原告主張の審決取消事由の要点

決定が認定した事実のうち、異議申立人が米国で1977年に設立されたスノーボード、スノーボード用の手袋・被服、バッグ等の製造、販売を中心とした会社であり、会社設立以来、全商品にハウスマーク「BURTON」を約20年間にわたり使用しており、現在、異議申立人の米国におけるスノーボードのシェアーは30パーセントを占めていて、年間売上高は約225億円に達していること、日本でも、これらの商品は1981年より販売が開始され、現在では、バートン・スノーボード・ジャパン(異議申立人の日本支社)から販売店を通じて全国600の小売店で販売されており、異議申立人の商標が使用されたスノーボードの日本におけるシェアーは、日本で第1位の20パーセント以上となっていることは認めるが、決定が、この引用商標「BURTON」について、我が国において異議申立人の出所を表示する商標として周知となっていると認定したことは、誤りである。「BURTON」の文字標章は、海外及び我が国において、原告を含め、異議申立人以外の者の出所を表示する商標として、異議申立人が引用商標を使用する前から使用されており、周知、著名となっていた。

また、決定は、本件商標の指定商品と引用商標の使用商品とが関連性を有しており、需要者を共通にしていると認定しているが、それぞれの商品における需要者は全く異なっており、この認定は誤りである。

したがって、本件商標の表示からは、異議申立人の商品ではなく、原告又は異議申立人以外の者の商品が連想されるのであり、決定が原告の本件商標と異議申立人の引用商標との間で出所混同のおそれがあると判断したのは誤りであって、決定は違法であるから、取り消されるべきである。

1  引用商標が異議申立人の周知商標ではないことについて

(1) 異議申立人の引用商標は、一般にそれほど知られていない。引用商標の使用商品である「スノーボード」が日本のスキー場で受け入れられたのはここ数年のことであり、それまではコースが荒れる、他のスキーヤーに危険だとの理由で各スキー場から締め出されていた。また、異議申立人の設立時期は、そのオーナーである「【E】」氏がマンハッタンの銀行を退社したのが1977年(昭和52年)の23才の時であり、実際にスノーボード社を設立したのはその翌年とされているところ、異議申立人が日本に新会社「Burton Snowboards Japan」を設立したのは1995年(平成7年)1月1日である(甲第25、第26号証)。このように、異議申立人が我が国の商品市場に登場した期間は大変短いし、決定が認定するように、異議申立人の引用商標が使用されるスノーボードが日本国内で20パーセントのシェアを占めるとしても、これは、「ビクトリア」、「アルペン」等のスポーツ専門店でのみで販売されており、一般のデパート、スーパーでは販売されておらず、若者の中の特殊な愛好家が購入しているだけであって、一般的な知名度は無い。

被告は、異議申立人の引用商標の周知性、著名性を立証するために雑誌等の書証を提出しているが、異議申立人を取り上げている雑誌は、その全てが一部愛好家、若者向けの特殊な雑誌であり、日本国民の子供から年寄りまで知られているものとは思えない。すなわち、被告が提出した雑誌は、「SNOWBOARD」、「skier」、「SNB」等の特殊なスポーツ雑誌であり、また、、提出の新聞記事は「日経流通新聞」、「繊研新聞」、「スポーツ産業新聞」等の業者間で読まれる専門新聞にすぎず、一般の週刊誌、女性誌等で異議申立人の広告を見たことはない。これらの特殊な世界では著名性があるとしても、それだからといって他のファッション商品においても、引用商標が著名であり、消費者の全てがそれを認識しているということはできない。

(2)  他方、異議申立人が我が国において引用商標を使用する前から、異議申立人以外の者が「BURTON」商標を海外や我が国において使用しており、「BURTON」商標は、これらの者の出所を表示するものとして周知、著名となっている。

(ア) 「BURTON」の標章は、「プレッピー・ファッション」を代表するニューヨークの「BURTON Ltd.」(以下「バートン・ブティック社」という。)が経営する「ファッション・ブティック」の名称であり、「BURTON」といえば、1970年代にニューヨークに始まり、日本でも大流行した「プレッピー・ファッション」の代表的ブランド名である。そのオーナーである「【F】」氏は、日本の雑誌でもよく紹介されており、1980年(昭和55年)には「POPEYE」誌でも取り上げられた(甲第16号証)。

そして、原告は、後記のとおり、1982年(昭和57年)に、バートン・ブティック社と契約して我が国で商品化を行っている。

(イ) また、アメリカで「BURTON」といえば、「バートン・マニファクチユアリング・カンパニー・インコーポレイテツド」(以下「バートン・ゴルフ社」という。)の「ゴルフバッグ」が有名であり、アメリカの新聞でも度々取り上げられており(甲第17号証)、同社は、商品の製造にとどまらず、全米10か所で商品販売を展開し、インターネットのホームページでも詳しく紹介している(甲第18号証)。アメリカでは、「スノーボード」を商品とする異議申立人と「ゴルフバック」を商品とするバートン・ゴルフ社とは、会社規模も拮抗しており、両社がそれぞれ知られ、認知されている。そして、バートン・ゴルフ社は、我が国で、1976年(昭和51年)2月16日に、旧第24類(キャディーバッグ、その他本類に属する商品)を指定商品として「BURTON」商標(登録第2249106号)の商標登録出願をして、その当時から「BURTON」商標を使用した「ゴルフ・キャディーバッグ」の商品を実際に日本で販売していた(甲第24号証)。そして、この「BURTON」商標は、我が国においてもゴルフファンの間で「ゴルフバッグ」の商標として知らない人はいないほど有名となった。このことは、スポーツ用品の大手企業である「ダイワ精工株式会社」がその商品を輸入代理店として取り扱っていたことからも十分推測することができるし、ゴルフ用品業界で毎年「社団法人日本ゴルフ用品協会」によって行われる「ジャパン・ゴルフ・フェア」を補う意味から毎年発行されている「ユニバーサルゴルフ」社の「ゴルフ用品総合カタログ・内外有名ブランド総掲載」「の1988年版」「と1989年版」に、「BURTON」の「ゴルフバッグ」の広告が掲載されており、その商品はスポーツ業界で公認されているのである(甲第19号証)。

(ウ) イギリスで「BURTON」といえば、ロンドンの目抜き通りのリージェント街に店を構える「BURTON MENSWEAR」ストアが有名であり、イギリスで知らない人はいないほど有名な「メンズ・ショップ」であり、英国の新聞でも度々取り上げられている(甲第20号証)。同社の設立は1929年(昭和4年)10月22日であり、既に70年以上の歴史がある。同店は、日本人の観光客も多数押しかけるほど有名であり、イギリスはもとより、ヨーロッパで「BURTON」といえば、この「メンズ・ショップ」を表すものである。同社のインターネットでのオンライン販売も好評である(甲第21号証)。

(エ) 日本で「BURTON」といえば、「東洋ゴム工業株式会社」の「靴」のブランド名として有名であり、業界新聞にも広告が掲載されている(甲第22号証)。現在は、三菱商事系列の「ライフギアコーポレーション株式会社」により引き継がれ、製造販売されている(甲第23号証)。東洋ゴム工業株式会社が旧第22類(はき物(運動用特殊靴を除く)、かさ、つえ、これらの部品及び付属品)の「BURTON」商標(登録第1042684号)を出願したのは、昭和45年(1970年)12月23日であり(甲第27号証)、同年から「靴」を販売していた。

(3)(ア)  原告は、海外ブランドの我が国における導入を専門に行っている会社であり、本件商標は、原告が昭和57年から日本国内で展開していたブランド名である。当時は、アメリカのプレッピー・ファッションの全盛期であり、原告は、その流行の「バイブル」ともいわれた「プレッピーハンドブック」でも紹介されているニューヨークの有名なブティックであるバートン・ブティック社の代表者「【F】」氏(甲第7号証)と1982(昭和57)年1月25日にライセンス契約を締結し、現在まで継続して、本件商標の指定商品以外の商標分類を含む多数の商品について事業を行っており、原告がこの「BURTON」ブランドを展開した当初は、「スノーボード」は日本に登場しておらず、異議申立人の存在は誰も知り得なかった。

(イ)  原告は、上記の事業を国内で問題なく行うために、昭和57年6月1日から、次の2件の登録商標につき、商標権者との間で商標使用権許諾契約を締結し、また、昭和63年11月30日に、本件商標と同一の文字商標である「BURTON」商標について、指定商品を旧第23類(時計、眼鏡、その部品及び附属品)として設定登録を得ている(甲第2号証)。

① 「BURTONバルトン」商標(登録第664522号、指定商品旧第17類(被服、布製身回品、寝具類)、甲第3号証)

商標権者 メルボ紳士服株式会社

期間 昭和57年6月1日から平成5年5月31日まで(甲第4号証。枝番号は省略する。以下同じ。)

② 「BURTON バートン」商標(登録第1229927号、指定商品旧第21類(装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具)、甲第5号証)

商標権者 三共生興株式会社

期間 昭和60年10月1日から平成6年9月30日まで(甲第6号証)

なお、異議申立人は、平成6年12月5日に、メルボ紳士服株式会社の上記登録商標に対して、取消審判を請求して(甲第3号証)、強引に商標権の譲渡を受けたり、平成7年12月18日に、三共生興株式会社から上記の商標権を買収し、また、平成11年6月23日に、バートン・ゴルフ社の上記の旧第24類(ただし、ゴルフ用具を除く。)を指定商品とする商標権について専用使用権の設定を受けている(甲第24号証)。このように、異議申立人の我が国における引用商標の使用は、商標権に基づかない違法なものであった。

(ウ)  原告の業務は、国内におけるライセンス元として、海外ライセンス先の代理人として、国内の各メーカーにライセンスを再許諾するものであり、原告は、「アルプス・カワムラ」、「起隆通産」、「青山眼鏡」、「ロリーバッグ」の他、計14社に対して、原告の上記の商標権及び2件の商標権の実施権に基づき、「BURTON」商標の使用許諾をして使用させており、実際にそれらの企業が商品を製造、販売したことは、原告が提出したそれらの企業の「ライセンス契約書」、「売上報告書」、「商品見本写真集」等を見れば明らかである。

なお、これらの商品は、「三越」、「高島屋」、「西武」等のデパートと、「ダイエー」、「イトーヨーカ堂」等の大型スーパーで売られていたが、これらの原告の商品展開の後に、異議申立人が商標権を有していないのに強引に日本の市場に進出し、スノーボード関連商品にとどまらず、周辺ファッション商品の製造を非合法的に行い、低価格の類似品を販売したので打撃を受け、原告は、「BURTON」商標を付した商品の生産と販売を縮小せざるを得なかったのは事実であり、原告が本件商標の出願時である平成8年以降に「BURTON」商標を使用していた事実について、具体的な数字として提出することができる証拠を用意し得ない。

(4)  以上によれば、異議申立人は、「BURTON」商標は自らによって我が国で有名になったと主張し、決定は、これを認めたが、異議申立人以外の者が「BURTON」商標を使用しているほか、原告自身、昭和57年より「BURTON」商標を付した各種の商品を国内メーカーと共同で製造、販売し、旧第17類の商品については11年間、旧第21類の商品については9年間にわたって使用していたことを考えると、異議申立人の主張は正しいとは思えず、決定には誤りがあるというべきである。

また、異議申立人が「スノーボード用品」として「BURTON」を有名にしたとしても、一般の消費者は「BURTON」の名前をほとんど知らず、それらの商品も一部の特殊な運動具店で販売されているのみであり、百貨店、スーパーでの販売は皆無であることをみても、それらが特殊なものであるということが窺えるのであり、引用商標が異議申立人の出所を示すものとして需要者の間で周知、著名であるとすることはできない。

2  本件商標の指定商品と引用商標の使用商品の関連性について

仮に、異議申立人の引用商標がその使用商品である「スノーボード」において、現在我が国で著名であるとしても、原告が展開している本件商標を付した商品は、本件の指定商品を含めて、純粋なファッション商品であり、異議申立人が展開する「スポーツ関連商品」とは、売場も全く異なり、また、販売店も一般の百貨店や小売店であり、スポーツ専門店を中心とするスノーボード社の商品とは全く関連がない。特に、時計、眼鏡等の商品は、技術的保守や種類の豊富さを必要とするために、「時計専門店」、「眼鏡専門店」でしか販売されないもので、その共通性は全く無い。

さらに、「スノーボード」等の「スポーツ用品」の世界と「ファッション商品」の世界は別世界である。前者は「性能」を追求するのに対して、後者は「奇抜さ、思いつき」を追求するものであり、「スポーツ用品」は、「ファッション商品」における無駄を極端に省き、スピードを追求するものであるので、両者には関連性が無い。それらを考えず、「スポーツ用品」の著名性が「ファッション商品」に及ぶという被告の主張は到底受け入れることができない。

被告は、本件商標の指定商品である「喫煙用具、時計」と引用商標の使用商品は、嗜好品的要素を有し又はファッションに関連する商品といえると主張しているが、あまりにも飛躍した主張であり、上記のアメリカのゴルフバッグ商品のバートン・ゴルフ社、イギリスのロンドンの有名なブティックである「バートン・メンズウェア」、日本の靴のメーカー「ライフギアコーポレーション株式会社」の著名性をも否定するような主張は受け入れ難い。

第4被告の反論の要点

1  引用商標の周知性、著名性について

(1)  原告は、異議申立人の引用商標は、一般にそれほど知られていない旨主張している。

しかし、異議申立人が「スノーボード」商品に使用している引用商標が、少なくとも、本件商標の出願時である平成8年11月1日までに著名となったことは、以下の雑誌や新聞記事に掲載されている事柄から明らかである。

(ア) 雑誌「Forbes(フォーブス)」((1996年平成8年)2月1日号)の日本版の記載によれば、アメリカのスノーボード市場規模は750億円に達しているが、スノーボード社は、この市場の30%以上を支配していた。さらに、日本においても、1998年(平成10年)の長野オリンピックにスノーボーディングが公式種目となり、その人気はますます高くなるとされている(乙第3号証)。

(イ) 主婦と生活社発行「SNOWBOARD」(1995年(平成7年)10月1日号)には、スノーボード・ブランド名として「BURTON」、「バートン」が紹介されている(乙第4号証)。

(ウ) 雑誌「skier 別冊SNOWBOARD」(1996年(平成8年)No.3)には、ボード部門において、人気ナンバーワンは「バートン」であるとともに、スノーボード用の靴にも使用され、ボードもさることながら、ウエアや小物などもセンスのいいものが揃っていることが掲載されている(乙第5号証)。

(エ) 雑誌「SNB」(1996年(平成8年)4月24日号)には、愛用しているブランド名として、ウエア第2位、バインディング第1位、ボード第1位、ブーツ第3位、グローブ第2位に「バートン」が掲載され、さらに好きなブランドとしてボード部門第1位、ウエア部門第3位として「バートン」が掲載されている(乙第6号証)。

(オ) 「日経流通新聞」(昭和63年12月10日、平成3年12月7日)、「日経産業新聞」(平成6年8月25日)、「日本経済新聞」(平成7年3月16日、、同年4月7日同年9月11日、同年12月29日)、「織研新聞」(平成8年3月19日、同年3月22日)及び「スポーツ産業新報」(平成3年1月1日、平成7年2月20日、平成8年3月1日)の記事には、スノーボードにおいて人気の高いブランド名として「バートン」を頻繁に紹介している(乙第7号証)。

(カ) 祥伝社平成8年10月15日発行「BOON(特別編集号)」には、スノーボードブランドの支持率No.1として「バートン」、「BURTON」が掲載され、靴、ウエアに使用しているとの記載もある(乙第8号証)。

(キ) 山と渓谷社発行「skier別冊SNOWBOARD 1997年(平成9年)No.3」には、ボード部門において、人気ナンバーワンは「バートン」であると共にスノーボード用の靴、ウエアにも使用されていることが掲載されている(乙第9号証)。

(ク) 日本貿易振興会海外経済情報センター発行「1991年(平成3年)、1992年(平成4年)、1994年(平成6年)輸入商品(消費財)売れ筋動向」(平成3年11月、平成5年3月、平成7年11月)には、スノーボードの小売市場の売れ筋ブランドは「バートン」、「BURTON」であることが記載されている(乙第10号証)。

以上(ア)ないし(ク)の掲載の事実を総合すれば、異議申立人に係る商品「スノーボード、スノーボード用靴、ウエア」等に使用されている商標「バートン」、「BURTON」は、我が国においても、本件商標の出願時には、既に取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものというべきである。

なお、原告は、異議申立人が取り上げられている雑誌は、その全てが一部愛好家、若者向けの特殊な雑誌であり、日本国民の子供から年寄りまで引用商標が知られているものとは思えない旨、また、消費者の全てがそれを認識しているとはいえない旨主張している。

しかしながら、ある商標を特定の商品に使用したときに著名商標に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあるかどうかを検討する場合には、当該商品の主たる取引者、需要者が当該商品の出所について混同を生ずるかどうかを基準にすべきであるから、当該著名商標が日本国民の全てや消費者の全てに知られていることまで必要とするものではなく、被告は、引用商標がスノーボードないしはその関連商品の取引者及び需要者の間に広く認識されていること、及びこれらの商品と本件商標の指定商品とは関連性があることを主張しているのであって、原告の主張は失当である。

(2)  原告は、「BURTON」商標は、海外及び我が国で、異議申立人以外の者の出所を示すものとして周知、著名である旨主張している。

しかしながら、原告主張の各会社が「BURTON」商標を使用していることは窺えるとしても、周知、著名であるという証左は見いだし難い。

なお、原告は、原告が展開する「BURTON」商標を使用した商品が販売されていた事実を証する書証として、「ライセンス契約書」、「売上報告書」並びに「展示会の案内状」及びその写真を提出している。しかしながら、「ライセンス契約書」は商標の使用を許諾する旨の契約書であって、それに基づいて商標が使用されるかどうかは別の問題であって、実際に商標が使用されていることを立証するものでないことは自明である。また、上記「売上報告書」は原告と特別な関係にある者の間の証明であり、自由に作成でき、比較的客観性の乏しいものというべきである。さらに、原告の提出に係る展示会の案内状及びその写真によれば、商品の展示会が開催されたことは窺えるとしても、当該商品が譲渡若しくは引渡しのために展示されたのかどうかは必ずしも明らかでないし、当該商品が実際に市場に流通し、取り引きされたことを立証するものでもなく、原告が「BURTON」商標をその展開している商品に使用していた事実は認められない。

また、仮に、原告の「BURTON」商標を付した商品が現実に市場に流通していたとしても、そのことと本件商標をその指定商品に使用したときに、引用商標との関係で、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるかどうかとは直接の関係がない。

すなわち、商標法4条1項15号は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」について商標登録を受けることができないとしているのであるから、異議申立人以外の者がある商品又は役務に「BURTON」商標を使用していたとしても、さらには、これがそのようなものとして周知、著名となっていたとしても、それがスノーボード関連商品につき異議申立人によって使用される引用商標の周知性や著名性が失われるということに結び付かない限り、本件商標を付した商品と引用商標を付した商品との間の出所の混同のおそれの有無の判断が影響を受けることはあり得ないと解されるのである(東京高等裁判所平成11年(行ケ)第414号事件につき、東京高判平成12年4月11日参照)。

以上のとおり、原告の上記の主張は失当である。

2  本件商標の指定商品と引用商標の使用商品の関連性について

原告は、原告が展開している本件商標を付した商品は純粋なファッション商品であり、異議申立人が展開する「スポーツ関連商品」とは売場も全く異なり、異議申立人の商品とは全く関連がない旨主張している。

しかしながら、上記のとおり、原告が展開しているとする「BURTON」商標がファッション商品に使用されている事実を認めることはできない。

また、仮に使用されていても、一般に、スポーツを行う場合には、そのスポーツに適した衣服、手袋、サングラス、時計等が使用されるところ、スノーボードについても、スノーボード関連商品として、ボード、スノーボード用靴、スノーボード用手袋、被服、バッグ、ゴーグル、サングラス等が使用されるのであり、これらの商品は身の回りの商品であって、ファッション(装身に関する流行)に関係する商品といえるものである。

他方、本件商標の指定商品である「時計、喫煙用具」については、「時計」は時刻を表示し又は測定するという、また、「喫煙用具」は喫煙に用いるという、それぞれの実用的な面と同時に、装飾のために身に付ける装身具としての面を持ち合わせており、衣服等に合わせた時計や喫煙用具が用いられるものであるから、やはりファッションに関係する商品といえるものである。

したがって、スノーボード関連商品と本件商標の指定商品とはファッションに関係がある点において共通性があるというべきであるから、原告の主張は失当である。

3  結論

以上のとおり、原告の主張はいずれも失当であり、引用商標「BURTON」は、異議申立人に係る商品「スノーボード」等を表示するものてして、本件商標の登録出願の前から取引者、需要者の間に広く知られ、著名となっていたものである。

そうすると、本件商標は、上記周知、著名な引用商標と同一の綴り字からなるものであり、かつ、本件商標の指定商品「喫煙用具、時計」と上記周知著名な引用商標の使用商品とは、嗜好品的要素を有し又はファッションに関連する商品といえるものであり、その商品の需要者層を共通にする場合も多いといえるものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用するときは、異議申立人に係る上記周知、著名な引用商標を連想、想起し、同人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標は商標法4条1項15号の規定に違反して登録されたものであるとする決定の判断に何ら誤りはなく、決定が取り消されるべき理由はない。

理由

第1引用商標の周知、著名性について

1  異議申立人が米国で1977年(昭和52年)に設立されたスノーボード、スノーボード用の手袋・被服、バッグ等の製造、販売を中心とした会社であり、会社設立以来、全商品にハウスマーク「BURTON」を約20年間にわたり使用しており、現在、異議申立人の米国におけるスノーボードのシェアーは30パーセントを占めていて、年間売上高は約225億円に達していること、日本でも、これらの商品は1981年より販売が開始され、現在では、バートン・スノーボード・ジャパン(異議申立人の日本支社)から販売店を通じて全国600の小売店で販売されており、異議申立人の商標が使用されたスノーボードの日本におけるシェアーは、日本で第1位の20パーセント以上となっていることは、原告においても争っていない。

そして、上記争いのない事実に甲第25、第26号証、第28号証、乙第3号証ないし第10号証及び弁論の全趣旨を総合すると、異議申立人が使用している引用商標に関して次の事実が認められる。

(1)  スノーボーディングは、米国において、スキーの客数が横ばいなのに対して、1980年代から人気が出始めてきて、スノーボード商品の売上げを伸ばし、1990年代には急激に人気が高まり、その客数及び売上高が拡大している。

我が国においても、遅くても本件商標の出願時である平成8年11月までの数年の間に、人気が急激に高まり、スノーボードの売上げを顕著に伸ばしており、平成10年開催の長野冬期オリンピックの公式種目としても採用されるに至っている。

(2)  異議申立人は、スノーボードを世界で始めて制作したメーカーとして、米国で1977年(昭和52年)に設立されたスノーボード関連商品(ボード、バインディング、スノーボード用ブーツ、スノーボード用グローブ、ウエア、バッグ、ゴーグル、サングラス等)の製造、販売を中心とした会社であり、会社設立以来の約20年間にわたって、全商品にハウスマークである「BURTON」を表示して使用しており、平成8年当時における異議申立人の米国におけるスノーボードの市場(規模約750億円)の占有率は30パーセント以上となっており、年間売上高は、約225億円に達している。

そして、我が国においても、異議申立人は、昭和56年から上記のスノーボード関連商品を販売しており、平成7年1月1日には、我が国に「バートン・スノーボード・ジャパン」を設立し、その販売代理店を通じて、全国で約600店舗の小売店で販売し、平成8年当時における異議申立人の我が国におけるスノーボードの市場(規模約500億円)の占有率は第1位となっており、20パーセント以上に及び、また、1995年ー96年(平成7年ー同8年)のシーズンにおけるウエアは、前年比で70パーセントから80パーセント増、ボードは、同じく50パーセント増の販売を達成している。

(3)  我が国のスノーボード関連商品の小売市場において、異議申立人の引用商標が付された商品は、その販売以来、若者を中心とする一般消費者の需要が高く、引用商標は、遅くとも平成8年11月までに、スノーボード関連商品において、人気の高いトップブランドの標章として確立しており、例えば、被告指摘のとおり、「日経流通新聞」、「日経産業新聞」、「日本経済新聞」、「織研新聞」及び「スポーツ産業新報」の各記事には、スノーボード部門における人気の高いブランド名として「バートン」が紹介され(乙第7号証)、日本貿易振興会海外経済情報センター発行「1991年(平成3年)、1992年(平成4年)、1994年(平成6年)輸入商品(消費財)売れ筋動向」(平成3年11月、平成5年3月、平成7年11月)には、スノーボードの小売市場の売れ筋のブランドとして「バートン」、「BURTON」が記載されており(乙第10号証)、また、スノーボード関連の雑誌において、以下のような記事が掲載されている。

(ア) 雑誌「Forbes(フォーブス)」(1996年(平成8年)2月1日号)の日本版に、スノーボード文化を築いた男として、異議申立人の代表者である【E】が紹介され、アメリカのスノーボード市場規模は750億円に達しており、異議申立人は、この市場の30%以上を支配していること、日本においても、スノーボード人口の増加は著しく、その人気はますます高くなることが記載されている(乙第3号証)。

(イ) 主婦と生活社発行「SNOWBOARD」(1995年(平成7年)10月1日号)には、スノーボードのブランド名として「BURTON」、「バートン」が紹介されている(乙第4号証)。

(ウ) 山と渓谷社発行「skier 別冊SNOWBOARD」(1996年(平成8年)No.3)には、読者が選んだ「スノーボード オブ ザ イヤー」として、1996年(平成8年)は、「バートン」が、ボード部門及びバインディング部門において第1位に選ばれたこと、ブーツ部門で第2位に選ばれたこと、ウエア部門でも10位以内に選ばれていることが紹介されている(乙第5号証)。

(エ) 雑誌「SNB」(1996年(平成8年)4月24日号)には、スノーボード関連商品につき、愛用しているブランド名として、「バートン」が、ウエア部門では第2位、バインディング部門では第1位、ボード部門では第1位、ブーツ部門では第3位、グローブ部門では第2位に掲載され、さらに好きなブランドとしてボード部門では第1位、ウエア部門では第3位として掲載されている(乙第6号証)。

(オ) 祥伝社平成8年10月15日発行「BOON(特別編集号)」には、スノーボードのブランドの支持率の第1位として「バートン」、「BURTON」が記載され、また、「王者バートンのすべて」との特集記事の中で、スノーボードの急成長の立役者の一人であり、日本における普及にも大きな功績を残している者として異議申立人の代表者の【E】が紹介され、「バートン」はスノーボードの歴史の主役を演じ続けるであろう旨記載され、異議申立人スノーボード関連商品が紹介されている(乙第8号証)。

(カ) 山と渓谷社発行「skier別冊SNOWBOARD 1997年(平成9年)No.3」には、読者が選んだ「スノーボード オブ ザイヤー」として、1997年(平成9年)は、ボード部門、バインディング部門及びウエア部門において、「バートン」が第1位に、ブーツの各部門において、第1位と第2位に選ばれたことが紹介され、また、異議申立人はスノーボードのボードメーカーとして長い間その人気を維持しているが、その人気の高さはバートンの持つ長い歴史と信頼にある旨、また、「バートン」はスノーボードブランドとして最強といわれている旨指摘され、「ゲレンデは、バートン、バートンのオンパレードだ!」と記載されている(乙第9号証)。

2(1)  以上認定の各事実を総合すれば、異議申立人がそのスノーボード関連商品(ボード、バインディング、スノーボード用ブーツ、スノーボード用グローブ、ウエア、バッグ、ゴーグル、サングラス等)に使用している引用商標「BURTON」及びその片仮名表記の「バートン」は、我が国においても、少なくとも、本件商標の出願時である平成8年11月1日までには、それらの商品の需要者である若者を中心とする一般消費者の間で、異議申立人の出所を示す商標として広く知られるに至っており、著名性を獲得したことを認めることができる。

(2)  原告は、異議申立人が取り上げられている雑誌は、その全てが一部愛好家、若者向けの特殊な雑誌であり、日本国民の子供から年寄りまで引用商標が知られているものとは思えない旨、また、消費者の全てがそれを認識しているとはいえない旨主張している。

しかし、本件商標を指定商品に使用したときに、引用商標を使用商品に使用する異議申立人に係る商品であるとして、出所の混同を生ずるおそれがあるかどうかを判断する場合、引用商標が日本国民の全てや消費者の全てに知られていることを要するものではなく、引用商標が、その使用商品の取引者や需要者の間に広く認識されているかを問題として、これが肯定される場合に、それらの商品と本件商標の指定商品との間に関連性があり、本件商標の指定商品の取引者や需要者の多くと共通していて、出所の混同を生ずるおそれがあるか否かを判断すれば足りるものであるから、原告の上記の主張は失当である。

(3)  原告は、「BURTON」商標は、海外及び我が国で、異議申立人以外の者の出所を示すものとして周知、著名である旨主張している。

しかしながら、原告が提出する書証(甲第7、第8号証、第11号証、第16号証ないし第24号証、第27、第28号証、第32、第33号証、第43号証)によれば、原告主張の「バートン・ブティック社」、「バートン・ゴルフ社」等の各会社が「BURTON」商標ないしこれを要部とする商標をそれぞれその業務に係る商品に使用していることは認めることはできるとしても、それらの各商標が、我が国において、本件商標の出願時である平成8年11月の当時において、周知、著名であることを肯定するに足りる的確な証拠はないし、仮にこれらの各商標が我が国で周知、著名であるとしても、後記のとおり、そのために異議申立人の引用商標の周知性、著名性が失われているという事実は認められない。

また、原告は、原告自身、昭和57年より「BURTON」商標を付した各種の商品を国内メーカーと共同で製造、販売している旨主張している。

しかしながら、原告が提出する書証(甲第2ないし第6号証、第9ないし第14号証、第27号証、第36号証ないし第42号証、第44号証ないし第48号証)は、そのほとんどが昭和61年から平成4年や平成6年までの使用に関するものであり、当裁判所の求釈明に対しても、本件商標の出願時である平成8年11月当時における原告の上記商品の販売に関する証拠は提出されていない。

付言すると、商標法4条1項15号は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」について商標登録を受けることができないと規定しているのであるから、原告が主張するように、異議申立人以外の者が、ある商品に「BURTON」商標を使用していたとしても、さらには、右商標が周知、著名となっていたとしても、それらのことによって、スノーボード関連商品について異議申立人によって使用される引用商標の周知性や著名性が失われるということに結び付かない限り、本件商標を付した商品と引用商標を付した商品との間の出所の混同のおそれの有無の判断が影響を受けることはないと解されるところ、本件全証拠によっても異議申立人の引用商標の周知性、著名性が失われているということは認められないから、原告の上記主張は、この点からも採用することができない。

3  他に、本件商標の出願時における異議申立人の引用商標の著名性について、上記2(1)の判断を左右するに足りる主張、立証はなく、引用商標には周知性、著名性が認められないとする原告の取消事由の主張は理由がない。

第2本件商標の指定商品と引用商標の使用商品の関連性について

1  原告は、原告が展開している本件商標を付した商品は純粋なファッション商品であり、異議申立人が展開する「スポーツ関連商品」とは売場も全く異なり、異議申立人の商品とは全く関連がない旨、また、「スノーボード」等の「スポーツ用品」の世界と「ファッション商品」の世界は別世界であり、「スポーツ用品」は、「ファッション商品」における無駄を極端に省き、スピードを追求するものであるので、両者には関連性が無い旨主張している。

2  しかしながら、被告が主張するように、一般に、スポーツを行う場合、そのスポーツに適した衣服、手袋、サングラス、時計等が使用されるところ、スノーボードについても、スノーボード関連商品として、ボード、スノーボード用ブーツ、スノーボード用グラブ、ウエア、バッグ、ゴーグル、サングラス等が使用されるのであり、これらの商品は身の回りの商品であって、ファッションに関係する商品といえるものであり、さらに、スノーボードやその関連商品を紹介する雑誌において、今やスノーボーディングは、単なるスポーツの枠を超えて、若者のファッション、風俗、ライフスタイルに大きな影響を与えている、スノーボーディングは1990年代の若者のライフスタイルを象徴するサブカルチャーである旨(乙第3号証)、スノーボード関連商品では、単に性能、機能のみならず、「デザインのよさ」や「かっこよさ」が購買の大きな要素となっている旨(乙第9号証)が指摘されているように、衣服、眼鏡等の物品をも含むスノーボード関連商品は、若者を中心として、広くファッションや風俗に影響を及ぼす品目となっており、その商品形態も、単なるスポーツ用品としての実用性、機能性だけでなく、嗜好性や美感性も重視されていることが認められる。

他方、本件商標の指定商品である「時計、喫煙用具」についても実用品としての側面の他に、装飾のために身に付ける装身具としての側面を持ち合わせており、衣服等に合わせた時計や喫煙用具が用いられることが少なくないから、ファッションに関係する商品といえるものである。

3  したがって、一般に、スノーボード関連商品と本件商標の指定商品とはファッションに関係がある点において重要な共通性があり、また、上記第1の2で判示したとおり、異議申立人の引用商標が付されたスノーボード関連商品は、それらの商品の需要者である若者を中心とする一般消費者の間で人気が極めて高いことが認められるのであるから、引用商標の使用商品と本件商標の指定商品とでは、その需要者層を共通にする場合も多いであろうと容易に推認されるのであり(これを否定すべき証拠はない。)、原告の上記主張は失当であり、原告の上記取消事由も理由がない。

第3総括

本件商標「Burton」は、引用商標「BURTON」と同一の綴り字からなるものであり、称呼も同一であるところ、以上判示のとおり、引用商標は、異議申立人に係るスノーボード関連商品を示すものとして、本件商標の登録出願までに、需要者の間に広く知られ、著名となっていたことが認められ、かつ、本件商標の指定商品と引用商標の使用商品とは、ファッションに関連する商品であり、その商品の需要者層を共通にする場合も多いといえるものである。

したがって、商標権者が本件商標をその指定商品に使用するときは、それに接する需要者において、異議申立人に係る著名な引用商標を連想、想起し、異議申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同が生ずるおそれがあることが肯定される。

決定は、上記と同旨の認定、判断により、本件商標は商標法4条1項15号の規定に違反して登録されたものであるとしたものであり、この決定の判断に誤りはない。

第4結論

以上のとおり、原告主張の決定の取消事由はすべて理由がなく、その他決定にはこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。

よって、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 永井紀昭 裁判官 塩月秀平 裁判官 橋本英史)

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